ラリック(1860~1945)は、ガラス史上繰り返された多くの転換の時の中でも最も光り輝き、一時代をつくった人物です。
彼は、アールヌーヴォースタイルが流行していた19世紀末には秀れた宝飾デザイナーとして名声を博していましたが、1907年香水商フランソワ・コティーから香水瓶制作の依頼を受けたのをきっかけに、ガラス工芸作家への転進をみごとに果たしました。
彼が、ガラス作家として活躍した1920年代は、アール・デコ様式が流行した時代でしたが、独創的で現代感覚に溢れた多彩な作品を次々に世に送りだしました。
それは、小さな器からインテリア、そして建築空間へとガラスの展開に重要な役割を果たした功績は誠に大きいものがあります。
20世紀初頭の機械文明の時代に、量産という概念に自らの芸術性をみごとに融合させた簡潔で明瞭な彼のガラス作品、そのスタイルの多様性、高い芸術性に触れながら、ゆっくりと心おだやかなひとときをおつくり下さい。
■ 休館日
毎週月曜日(祝日の場合翌日)
臨時休館あり
■ 開館時間
午前10時~午後5時
■ 入場料
一般 800円
学生 600円
中学生以下 500円
成田美術館
滋賀県長浜市朝日町34-24
TEL:0749-65-0234
ルネ・ラリック
オパルセント・ガラス -光と翳の幻想-
光の美しさを追求したルネ・ラリック(1860-1945)のガラス工芸のなかで、ひときわ深い印象を与えるのがオパルセント・ガラスである。
宝石のオパールに似た色合いのこのガラスは、ブルーがかかった乳白色の上品な輝きのなかに、赤い炎の煌きを秘めた、二色性の不思議な色合いを帯びている。
ラリックが宝飾工芸から芸術家としてのキャリアをスタートしたことは、広く知られている。
詩人ローベル・ド・モンテスキュー伯爵は、ジュエリー時代のラリックを「オパールに恋した宝飾家」とよんだ。光線によって変化するその不思議な色合いは、曖昧さ故に嫌われていたが、そのとらえ難さこそが、ラリックにとっては、奥深い自然の神秘や、女性の美しさ、そのすべてを包み込む宇宙全体のたゆまぬ生成と変容を映し込むものに感じられたに違いない。
宝飾時代に心をとらえたオパールの魅力は、ガラス工芸家として大成功を収めた1920年代の中ごろ、オパルセント・ガラスとしてよみがえり、「アール・デコ」の伝説となった。
美術工芸史家 池田まゆみ





